第12回 ボルボの映画

優れた映画では脇役のクルマも輝いて見えます。「ボルボ・オン・ザ・スクリーン」はそんな「映画の中のボルボ」をご紹介。第12回はアメリカで実際に起きた連続殺人事件を描く「ゾディアック」です。
ゾディアック
2006/アメリカ映画
原題:Zodiac
監督:デイヴィッド・フィンチャー
原作:ロバート・グレイスミス
出演:ジェイク・ジレンホール(ロバート・グレイスミス役)/マーク・ラファロ(デイヴィッド・トスキ捜査官)/ロバート・ダウニー・Jr(ポール・アヴェリー役)/アンソニー・エドワーズ(ウィリアム・アームストロング捜査官)/クロエ・セヴィニー(メラニー役)
Length:2h.37min.
※R指定(殺害シーンの描写などに強い表現があります)
1969年のサンフランシスコ郊外、カップルが襲撃され、女性が射殺される事件が発生。新聞社には「ゾディアック」と名乗る男から、犯行を名乗る手紙と暗号文が届けられる。刑事のマーク・ラファロ、「サンフランシスコ・クロニクル」紙の記者エイブリー、同じ新聞社の風刺漫画家グレイスミスらは、次々に起こる連続殺人事件の真相追求に没頭し始める。
サンフランシスコ周辺で1968年から1974年の間、実際にあった連続殺人事件を描いたノンフィクションです。原作は、当時新聞社に所属していた風刺漫画家ロバート・グレイスミスが書いたベストセラー。それを「セブン」(1995年)、「ファイトクラブ」(1999年)のデイヴィッド・フィンチャー監督が映画化しました。
主役のグレイスミスを演じたのは、「ジャーヘッド」(2005年)で湾岸戦争に派遣された海兵隊員を演じ、続いて「ブロークバック・マウンテン」(2005年)で英国アカデミー助演男優賞を受賞した、若手実力派のジェイク・ジレンホールです。
この作品では精密な時代考証で1970年代のサンフランシスコの様子を再現。複雑な事件や当時の世相、実在の人物をテンポよく描くほか、フィンチャーらしい暗めの映像も印象的です。事件は未解決ですが、映画では関係者がつかんだ真相が克明に描かれています。
新聞記者のエイブリーが犯人と接触すべく、深夜に待ち合わせ場所まで乗っていくのがボルボ120シリーズ、通称アマゾンです。映像が暗くてよく見えませんが、街灯に照らされて浮かび上がるラジエイターグリルでそれと分かります。4ドアセダンのようですが、ボディカラーは暗くて分かりません。
さて、アマゾンと言えば、当コラムで以前取り上げた「大統領の陰謀」(1976年)でロバート・レッドフォード演じる「ワシントン・ポスト」記者、ボブ・ウッドワードが乗っていたのも同じアマゾンです。片や連続殺人、片や大統領による政治犯罪(ウォーターゲート事件)ですが、考えてみると両作品とも1970年代前半の「事件」を扱ったノンフィクション映画。しかも新聞記者の視点で描くのも同じことから、フィンチャー監督がノンフィクション映画の古典である「大統領の陰謀」を意識しなかったはずはありません。さらに「ゾディアック」のこの場面は、「大統領の陰謀」でウッドワードが政府関係者「ディープスロート」と接触するシーンを彷彿とさせます。つまりこの場面でアマゾンが登場するのは単なる偶然ではなく、「大統領の陰謀」に対する一種のオマージュ(敬意)・・・・・・と考えるのが自然ではないでしょうか。
登場するタイミング:開始から約1時間8分50秒経過時点(約10秒間)
1956年から70年まで生産されたボルボの主力モデルで、アマゾンとはギリシア神話に登場する女性戦士のこと。商標の関係でスウェーデン国外では正式名称ではありませんが、実際には世界中でアマゾンと呼ばれました。
「『ボルボは安全』という神話がありますが、アマゾンと聞くとシートベルトを思い出します。アマゾンは世界で初めて3点式シートベルトをフロントシートに標準装備したクルマで、そのあともヘッドレストや2重安全ガラスをいち早く採用しました。安全神話の基礎はアマゾンが作ったと言えるかもしれません。
また、14年間に70万台も生産されたアマゾンは、当時としては爆発的なヒット商品でした。そしてそのうちの50%が世界に輸出され、ボルボの名が世界に広まるきっかけにもなりました。
今ではほとんど写真でしか見ることが出来ませんが、北欧らしく少し丸みがあり優しさや暖かみを感じさせるアマゾンは、大好きなクルマの1台です。」
(ボルボ・カーズ岡崎 神谷)
VOLVO 120シリーズ(1956〜70年)
●全長4450mm×全幅1620mm×全高1505mm●4/5人乗り●直列4気筒OHV・1582cc(85ps)●駆動方式:後輪駆動
※画像は1957年の122。スペックは1960年の高性能版「122S」。
text by Kei Niwa, DAYS
produced by VOLVO CREATE
ボルボの映画 バックナンバー
- 第12回「ゾディアック」(06年、アメリカ映画) 2008/10
VOLVO 120シリーズ"アマゾン"(1956〜70年) - 第11回「M:I:III (ミッション・インポッシブル III)」(06年、アメリカ映画) 2007/12
VOLVO 850(1992〜97年)/V70(97〜2000年) - 第10回「男はつらいよ 拝啓 車 寅次郎様」(94年、日本映画) 2007/4
VOLVO 240 (1974〜93年) - 第9回「キッチン ストーリー」(03年、ノルウェー・スウェーデン合作) 2006/11
VOLVO PV444 (1947〜58年) - 第8回「フレンチ・コネクション」(71年、アメリカ映画) 2005/12
VOLVO 164(1968〜73年) - 第7回「スクール・オブ・ロック」(03年、アメリカ映画) 2005/8
VOLVO XC90(2002〜) - 第6回「大統領の陰謀」(76年、アメリカ映画) 2004/4
VOLVO 120シリーズ(1956〜70年) - 第5回「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」(85年、スウェーデン) 2004/2
VOLVO PV800シリーズ(1938〜57年) - 第4回「ガープの世界」(82年
アメリカ) 2003/8
VOLVO 544 (1958〜65年) - 第3回「ナイト・オン・ザ・プラネット」(91年
アメリカ) 2003/5
VOLVO 144(1966〜74年) - 第2回「シックス・センス」(99年
アメリカ) 2003/3
VOLVO 240/245 (1974〜93年) - 第1回「イギリスから来た男」(99年
アメリカ) 2003/1
VOLVO 780 (1985〜91年)


